ニュースに一喝
−その19−


介護保険制度見直しのどたばた


 最近の政府与党の政策責任者達(ひょっとしたら政策無責任者達)の介護保険見直しとか、第二次補正予算とかについての、その場限り、目先の票のことしか目にはいらない様子は、怒りとか滑稽とかを通り過ぎて、病膏肓に入ったとしか思えない。即刻馬鹿げた議論を止めて、衆議院を解散して欲しい。というと、景気は今が大切なとき、選挙などしている場合でないというに決まっているが、大事なのはいつでもだ。そんなに云うならもっと一生懸命、理に叶ったことをやったらどうだ。
 保険料を半年は徴収しないとか、一年は半額にするとか、そんなことのために1兆円という予算が要るのだ。1兆円有れば、福祉のための基盤整備がどれだけ出来ることか。あまりに巨額すぎて俄には想像もできないが、そんなお金も余裕があるならいい。赤字国債でまかなうというに至っては、責任有るもののやることとはとても思えない。それは、今春の「地域振興券」でも同じ事だった。此が景気刺激に役に立ったのだろうか。旗振りをした人々がボソッとも云わないのは効果がなかったことを認めているからだろう。前にも云ったが、これを自分の金でやるなら何も文句は言わない。こんな馬鹿げたことを、多額の税金を使ってやることだろうか。ちなみに、中部国際空港は海を埋め立てて作るのに、7600億円で出来ると云うことだ。
 税金といえば、介護を税金でやれと云う主張が自由党。それが聞き入れられないから、賛成できないとごねて、連立をどうのこうのという。しかし、もうあまり、連立離脱のカードは効き目が薄くなった。自民党という化け物に呑み込まれてしまったと同じだ。かつての社会党と同じ道を踏むのだろうか。それはともかく、消費税でというのは、消費税を福祉目的税ということで反対しにくくして、しかも、福祉に金が掛かるからと云って税率が上がることは火を見るより明らか。まだ、保険方式の国民共助の方が、税金よりは透明度も高いし、確実だろう。
 何はともあれ、一旦長時間の論議を経て決めてあったことを、実力者といわれる一部の人がひっくり返してしまうと云うことは、国民のためという大義名分を振りかざしてはいるが、民主主義の方式をないがしろにするゆゆしき問題である。詳しいことは忘れたが、かつて、やはり、金丸という金まみれの政治家が旗を振って、実施直前に、すでに巨額の資金を投資して準備したグリーンカードの制度を叩きつぶしたことを思い出す。自分たちに不都合なことは、何とかかんとか理屈を付けて、なりふり構わず力ずくで葬り去ってしまう。こんなことが今でも通用すると思って、小物が、実力者ぶって、どたばたを演じたと云うことか。地方の自治体も、もうそんなにそういう理不尽なやり方に同調はしまい。保険料が安くなると云っても、僅かな期間。朝三暮四に等しい。猿だってだまされまい。こんな事で票も増えまい。総すかんを食うのが関の山。
 ついでに余分な一言。相変わらず景気対策、景気対策といっているが、この保険料の軽減と云うことに見られるように、将来は段々悪くなると云う見通し。景気動向が上がったり下がったりで、一向に回復と言い切れないのは、年金の支給を遅らすとか、減額するとか、利息はないに等しい状態が続くとか、おまけに赤字国債増発でインフレ懸念とか、あらゆる事に、国民が将来に漠然たる不安を抱いているからであって、これが払拭されるまではこの状態は何時までも続くのだろうと云うのが、経済素人の診断。みんな、無責任な政治家諸侯の責任。だと思う。
(T)  

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