ニュースに一喝
−その30−



理 不 尽

  この頃は、援助される方がかえって威張っていて、援助する側にいろいろ無理難題までふっかけるということが当たり前になっているのだろうか。勿論、援助する側も威張る必要はないが、卑屈になる必要は毛頭ないと思う。
  古い話だが、印象に残っていることがある。未だ、韓国と関係がぎくしゃくしていた頃。韓国大統領は朴正熈大統領、日本は田中角英首相。経済援助に関して、朴大統領が、確か20億ドルの供与を要求した。大変な巨額だ。それ以下ではダメだという話だった。それを田中首相は「貰う方がびた一文まけられぬという話があるもんか」と憤慨していた。
  しかし、今度の話はもっと凄い。北朝鮮にエネルギー援助のため、原子炉を建設して差し上げるということ。ところが、その計画が、予定より6年遅れるという。それに対して北朝鮮側は補償を要求するということだ。然も、核開発をすると脅しながら。そういう報道(2001.12.29)を見て、唖然とする。しかも、その遅れの原因が、北朝鮮労働者の賃上げ要求など非協力に依るという。実状は、詳しく知らされていないから、滅多なことは言えないけれども、ちょっと、我が感覚にはなじまないことだ。
  奄美大島沖でのいわゆる不審船事件についても、全く釈然としない。その船が沈没して、死んでしまった乗組員は誠に気の毒なことだ。しかし、今はやりの自爆テロと五十歩百歩。収容された遺体は頑丈な鍛え抜いた体だったという。勿体ないことだ。しかし、何の目的か知らないが、こんな武装した船が「うろちょろ」(小泉首相の言葉)していてくれては困る。しかも、いつまで経っても国籍不明の「不審船」。疾うに身元は割れているのに。ついに、又「日本の仕組んだ謀略だ」ときた。テレビなどの解説では、知らぬ存ぜぬ、そちらのせいだと言うに決まっている、と言われていた通りの、と言うより、もっとひどく、日本のせいにしてきた。今度も案の定、「国際法も知らない日本のサムライ、チンピラ集団だけが行うことのできる不法な海賊行為」と北朝鮮外務省スポークスマンは語ったと報じられていた(12月26日、中日新聞)。これを理不尽と言わずして、世の中にどういう理不尽が有ろうか。
(田)  

不毛の議論か

  今回のアフガン復興会議は成功裏に終わったと評価されている。その中で日本の外務省が、二つのNGOの会議参加を当初拒否したということが大きな汚点だとして残念がられている。それはともかくとして、何故拒否したかということの事実関係については国会の論議で、田中外務大臣は菅民主党幹事長の質問に対して、自民党の鈴木宗男代議士が関与したことを認めた。その後、鈴木代議士とそう報告したという外務省の野上事務次官は、そんな事はなかったといい、外務大臣の嘘言癖だと言っている。出席を拒否されたNGOの代表は、言った言わないは分からないが、外務省が特定代議士の意志を体していたのは残念とコメントしている。そもそも、今回の会議に外務省が特定NGOの会議出席をどうのこうの言う筋合いは無いのではないか。
  真相は未だ不明であるが、曰く付きの田中−鈴木戦争。これに対して首相は「どうなってんの?」。公明党の代表は、「今はそんな不毛の議論をしているときではない」と仰る。果たしてそうか。確かに、水掛け論に成りかねないが、国会の論戦で明言されたこと、それが事実でないというなら、それこそ代議士諸公が常に言う「国会の権威」はどうなるのか。「不毛の議論…」は臭い物に蓋だ。この際、代議士秘書の口利きが問題になっている折りでもあり、外務省の体質改善のためにも、徹底的に真相を洗い出して、早くすっきりさせて欲しいものだ。
(田)  

   

  前頁                次頁  
教職員委員会 ニュースに一喝 −その30−
kyoshoku-c@coop.nagoya-u.ac.jp