9.12 水害体験から
正中康博(工学部)
9月11日、夕方からの未曾有の豪雨によって名古屋市、愛知県西部は甚大な浸水被害にみまわれました。私が長年住む海部郡甚目寺町大字新居屋においても元来地盤が低いことも相まって24年ぶりに浸かってしまい、水害による「特別休暇」をとって職場を一週間ほど休み、我が家の後始末に追われました。幸い浸水は床板ぴったりのところで止まり、事前に家人を総動員して畳を上げていたため最悪の事態に至らず、ガス、水道、電気も止まらず、さりとて汚水の混じる海と化した屋外に出ることもかなわず、テレビニュースを流しつつほぼ丸二日間、自宅にこもっておりました。
事態が収束した後、「二度も浸水被害にあった犯人は誰だ!」との流言が飛び交うのは世の常ですが、ここは私が直接かかわったエピソードのみ記述しておきましょう。
前回浸水の経験から我が家の車庫にある車の前輪をジャッキで10cmほど上げてブロックを噛ませエンジンだけでも水に浸からない処置を取っていたのですが、24年の歳月はこれを台無しにする「犯人」を登場させていたのです。大型ワゴン車、ランドクルーザー……このいまいましい連中が我が家の前の道を40cm近くの大波をたてて何台も通過し、結局車は修理するハメとなりました。
これら不心得者の行為は、浸水床上すれすれの近所民家にも「とどめ」を刺し、「車で波を立てるな!」との叫び声がほうぼうであがりました。これに呼応し血気にはやる大学生の息子を制し、私は「仕方がないな」と押っとり刀で戸外に出たのでした。「もはや実力行使あるのみ!」と思ったからです。そして我が家から約100mほど離れた信号交差点に「仁王立ち」し自主規制を実施しました。その間約2時間、家人が役場、警察に電話しましたがこれも「災害時の常識」か…いっこうに来てくれる気配もありませんでした。
規制をしながら考えたこと…「非常識なことをするやつは非常識なことしか考えない、逆恨みするやつだってきっと出てくるだろう。だからこんなことをするのは腕に覚えのある者にしかできないのか…つまりオレはこの先もずっと鍛えることをやめる訳にはいかんということか…」
規制は強引にやって来る者には恫喝し、丁寧に尋ねる者には穏やかに対処、立派な「オジさん」の歳であればこそトラブルなく完結できたのでした。
最後に「かけはし」読者の中で大型ワゴン車、ランドクルーザーを所有している方々に一言…くれぐれもモラル・マナーをわきまえて車をご利用ください!!
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教職員委員会 投 稿
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