御池岳ハイキングの報告
(1,243m)



風は強いが眺望に満喫
附属病院 中條 保


31人が参加
 恒例となった生協教職員委員会主催の春のハイキングが鈴鹿連峰最北端・最高峰の御池岳で行われ子供一人を含む31名が参加した。みどりの日の4月29日は毎年晴れの特異日にあたるが当日は、寒冷前線の南下で北陸地区や中部山岳地方では雷や霰まじりの荒れ模様の天候となり、鈴鹿も大きく崩れないまでも寒い北西風の吹き荒れる天気になった。
 予定の午前7時に豊田講堂前(一部は吹上げ)に集合し、7台の乗用車に分かれて乗り込み、7時20分には吹上の「名古屋市中小企業振興会館前」で集合するグループと合流し、午前7時30分に都市高速「吹上」インターに入り、順調に走って東名阪の桑名インターで降りる。ここから西に向かう員弁街道からは正面に鈴鹿の青い山並みが左右に見渡せ、一安心である。

芽吹きの山麓を登山口へ
 藤原岳の東面を仰ぎ見ながら、二車線道路は西から北に方角を換える頃、山口の集落で関ヶ原方面と分かれ滋賀県多賀方面に通じる鞍掛峠に向かう。谷間の尾根には山桜が咲き、道に沿って山吹の黄色い花の揺れる山道をぐんぐん登る。登山口のコグルミ谷入り口は、相変わらず大勢の登山者で賑わっている。前後の道沿いには車が 台から 台も止まっている。

コグルミ谷を登る
 全山石灰岩から成る御池岳のコグルミ谷道は、山頂への最短ルートとして大勢の登山者が集中する。毎年ゴールデンウイークのこの時期は、カタクリの花が美しいので、最近は特に多くの人が訪れる。石灰岩の沢筋は水が伏流していて、流れは全くない。それでもその沢に沿ってサワグルミのまっすぐ伸びた樹形が一目でわかる。その林が稜線に向かって続いている。美しい縦縞の模様は個性的で容易に識別できる。最初の休憩は、 分ほど歩いた長命水という水場でとる。この山域では唯一の水場でもある。

30人が二つに分かれ
 5人の初心者と熟年組は真ノ谷を日本庭園に向け直行する。残りの健脚グループは左折して御池本峰に挑む。ちょっとした差だが無理は禁物。しかし、思いがけぬイノシシの死骸にで合う。5〜60Lはあろうと思われる大きなものだ。雪解けまもない水たまりの脇に、まだ新鮮なままである。コバイケイソウが緑の葉っぱを広げ、落葉樹もまだ葉を着けていない明るくのどかな峠を越えてカルストの庭園に入って行く。

30本のビール
 風を避けて10人ほどが入れるドリーネの中で昼食にする。20本あまりの差し入れビールをクーラーに入れて運びあげたものの、こうも寒くては、その上5人のグループも数本持参しているとあって、下戸の私では飲みきれない。御池本峰に向かった大部隊の到着を待つも峠の交叉地点で弁当を広げているという始末。急遽、合流してもらいビールを勧めるも、寒さのために余りはけない。結局、半分ほどは下山して配ることになった。

鈴北岳から琵琶湖や伊吹、白山が
 風が強い分だけ周囲の眺望が優れている。西に琵琶湖がその向こうに比良、比叡の山並みが北に湖北の山々が、さらに伊吹、白山が望め、東に伊勢湾や名古屋港、名駅のツインタワービルとその向こうに恵那山もうっすらと望むことができた。すばらしい眺望に大いに満足したが目指すカタクリは時期的に少し早かった。下りの道の鞍掛峠の方がよく咲いていて、期待したコグルミ谷上部は葉が出始めたばかりで、熊笹の中に数輪咲いているのを時折見つけることができた。

鞍掛峠で解散
 県境尾根の下は峠のトンネルが走っていて西に向かうと多賀大社に通じる。そのトンネルの上の急な下り道を時折滑りながらも注意して下る。スミレやツツジがきれいだ。予定より少し早く下山することができた。全員の無事な下山を確認して安全運転での帰宅をお願いして解散する。
太陽のぬくもりを感じながらのビールは最高  さわやかな五月晴れのみどりの日。低気圧が去った後、シベリア生まれの寒気団が日本列島上空に広がり少し冷えるが、空気のすんだ状態である。約半時間の登山の後、最初の休憩地点「長命水」に着いた。この付近石灰岩地帯特有の陥没が起こっている。例年に比べて花が少ない。ネコノメソウ、ニリンソウ、ミヤマカタバミ、エンレイソウなどの花が咲いていた。雪解けが終わったばかり?という感じがする。カタクリの葉が出ているが、花が開いていない、あったとしても、つぼみである。鞍掛峠方面の尾根ではカタクリの花が開いているのが見られた。この地域は寒いのだ、ふもとの山桜、山吹を見ても遅い感じがする。
 10時半頃、稜線に出る。ここは、南方の白瀬峠から来る道の合流地点でちょっとしたひろばとなっている。これより、御池丸山登山の分岐までなだらかな起伏の道となる。11時半頃分岐、先行グループはすでに頂上へ向かっている。6人は丸山に行かず、真の谷源流経由で真の池へ行への近道を行った。われわれは馬宮先生たちとともに先発した丸山頂上組みの後を追い、麓の真の池へおりて、昼食をとるように先発組に連絡を取ることにした。12時半頃丸山頂上へ着く。ここで長野さん、斎藤さんたちと合流、頂上は登山者が多い。頂上は典型的なカルスト地形で、緑草の中のあちこちに白い石灰岩の石塔が出ている。写真を撮って後、真の池へ降りる。1時頃真の池ドリーネ内で寒風を避け、太陽のぬくもりを感じながらビールを飲んで乾杯、昼食を取る。ドリーネとは石灰岩地帯にできた窪地を意味し、地下水の浸食によって、石灰岩層に穴ができ、地表部分が陥没してできた穴である。雪解けの水がたまって石灰岩層を浸食することもある。このドリーネは浅い穴で枯れ草が敷物となって居心地が良く、風を防ぐのに丁度良く、暖かかった。この後鈴北岳へ向かう。日本庭園付近の熊笹は焼けてなくなったのか、展望が良くなった。以前は背丈ほどの熊笹で展望がなかったことを思い出す。2時前頃、鈴北岳、鞍掛峠へ向かう。北西風が強い。足元はカタクリ、スミレ、カタバミの花が咲く。特に鞍掛峠からの日当たりは春の野花でいっぱいであった。遅れたパーティの到着を30分ほど待って3時半頃解散した。来るときと同じように車に乗り合わせて帰名した。
 ある参加者は生協「かけはし」で見て来たがハイキングがこんな急な坂を登る登山だとは思わなかったと言っていた。しかし、こんな弱音を出しながらも、この方はゆっくりとしたペースで、みなさんとともに真の谷、鈴北岳、鞍掛峠を経て下山した。(工、結材、大森和彦)

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教職員委員会 私の百名山
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