ニュースに一喝
−その14−


見方を改善した


 経済企画庁の月例経済報告についての記事の中で。この4月のことだ。何日かは忘れた。午前のラジオのニュースで、今までの景気判断より、住宅着工件数などについて、幾分改善の方向に向かっているということを言うのに、「今までより見方を改善した」という言い方をした。言おうとすることは分かるが、ちょっと変だ。「見方が悪かったが、その見方を直した」のではない。「悪いと見ていたのを、もうすこしいいと見方を変えた」のである。「改善」したのは、「見方」ではない。「経済状況そのもの」だ。「経済状況が改善した、または、するであろうという見方になった」ということだ。誠に微妙であるが、言葉を仕事の最大の「手段」にしている人々は、神経を使っていいと思う。
 同じニュースを夜もやっていた。今度は直っているかと思って聞いたが、同じ事だった。
同じようなこと、地方選挙の結果についての、選挙民の声。「何はともあれ、景気を回復させてほしい」と。言うことはよく分かる。でも「景気が回復する」とはいえても、「景気を回復させる」事が出来るのであろうか。それが出来るなら、もう、とうの昔に回復しているであろう。私なら、こんな事は言わないが、もしそういう意味のことをいえといえば、「景気が回復するようにしてほしい」と言うであろう。これは、咎められない。咎める気もない。
(T)  

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教職員委員会 ニュースに一喝
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