ニュースに一喝
−その10−


ロン毛にピアス?


 世の中に通用していることばかもしれないが、私は寡聞にして「ロン毛」とは何か知らなかった。近頃、あまりものを見なくなってせいだろう。これがいったい何だか知りたくて、その記事をながめた。一向にそれらしいことばは出てこない。改めて、きちんと読んでみて、「ロングヘアー」のことだろうと察した。世の中ではこれを「ロン毛」といっているのだろうか。聞いてみなければ。
 中日新聞、98年7月4日37頁、大阪茨木の目垣遺跡から出土の最古の人面土器というのが写真入りで紹介されていた。ラジオでもいっていた。確かに、頭髪を束ねて巻き付けたような恰好になっていた。「ロン毛にピアス?最古の人面土器」という見出し。
 さて、これをロングヘアーのことと考えていいとすれば、何と読むのだろう。「ロンモウ」か「ロンケ」だろうが、いずれもちょっと響きがわるい。読まなくてもいいというのだろうか。また読めなくても意味が通ればいいのか。パチンコ屋の「出玉率」というのもどう読むのだろうといつも見るたび思う。漢字の、一字一字がもう日本語の語根として機能しているということであろう。
 若い学生に聞いてみた。みんな知っているようだった。「ロンゲ」と読むのだそうだ。特に若い男の長い髪をいうのだそうだ。「ちゃぱつ」といい、longと「け」をあわせて、longe(ロンゲ)としたのなどは秀逸である。いずれ「ろん」が「長」の意味の語根にまでなるかもしれない。
 ラジオのニュースでもこれを報じていたが、「ロンゲ」とは言わなかった。まだ、格式あるNHKが放送用語として取り上げるには至っていないということか。 (T)
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教職員委員会 ニュースに一喝
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