98年度大学生協東海地連教職員院生交流セミナー報告
18歳人口の減少、大学改革の中でモノの販売からヒトの育成に
東海地連教職員院生交流セミナーは、各大学生協、東海地連、東海事業連合、全国大学生協連から27名(名古屋大学から榊理事長、稲葉専務理事、と教職員委員5名の計7名)の参加を得て、11月28日(土)から29日(日)にわたり開催された。
情報のスピード化・効率化と生協活動の機能向上をめざす地域センター構想
第一日目の会議は、静岡大学浜松校舎生協において午後1時半から開かれた。最初の基調報告では、昨今の不況や日本版ビックバンに象徴される日本型経済の変化、18歳人口の減少とダイナミックにすすむ大学改革の中で、私たちもまた、変革を迫まられている。こういう時こそ、教職員・学生・院生・留学生組合員の要望を生かす組合員参加の運営に心がけ、基礎的な事業である食堂、書籍、購買、旅行サービス事業の分野において満足できる提供、供給に汗を流すべきである。この事業をきちんと展開してこそ大学生協の存立価値が認められるのであり、利用者も結集し、おのずと経営も成り立つのではないだろうか。
平和や環境などの課題も大切にしながら、組合員の参加の事業展開を「地域センター」に期待していきたい、との報告がされた。
続いて、東海地連の主な取り組みである「98オキナワの旅」の報告、東海事業連合の取り組み、そして今回のセミナーのメインテーマである「東海地域センター」への組織換えの具体化について報告された。この「地域センター」づくりについての報告は以下の通りである。
これまで個別大学生協(単協)の連帯の組織として、東海の各生協が参加している東海地連と各単協が業務委託契約を結んで結成している東海事業連合が現存してきた。この二つの連帯組織を情報のスピード化・効率化と組合員に対するサービス面から、生協活動の機能を向上させ時代に即応した組織を構築する必要があるとの観点から「地域センター構想」が提案され、2000年から一体運営を目指しているとの考えが明かにされた。
休憩の後、後半の会議では三つのグループに分かれて「地域センターづくりに当たって地連・連合への要望」をテーマにグループ討論が行われた。
その「地域センター構想」については、その後の夕食懇親会においても個々に話が弾んでいた。
全米の3割で導入された産学連携によるインターシップ制度は大学のステータスになりうるか
二日目は午前9時よりホテルのミーティングルームにおいて「アメリカ大学インターシップ見学」について、愛知大学名古屋・専務理事からアメリカの「ドレクセル大学」(フィラデルフィア)を見学した時の様子をビデオで説明しながら報告が行われた。
本場アメリカでは、産学連携による人材育成の一形態である「インターシップ制度」については、全米の大学約3,000校のうち約900校で「インターシップ制度」が採用されている。アメリカには大学を評価する機関があり、インターシップを採用しているかどうか、その内容で大学が評価されるという内容であった。
日本経済の構造的変化、情報化社会の到来と国際化の波が押し寄せる中で、日本の教育と大学のあり方を巡ってその改革が進んでいる。その中にあって、「21世紀のビジョンとアクションプラン」を掲げて、それぞれの大学生協でその実現に向けて組合員と共に、その具体化を呼びかけている。大学生協では「モノからコト」への変化のきざしが感じ取られた、との報告者の弁であった。
創立50周年を迎える、加入率30%のコープしずおかの大規模店「ハーモス浜北」を見学
続いて、「コープしずおかの現状と今後」というテーマでコープ静岡広報担当者から報告があった。「コープしずおか」のパンフレットによれば、50年代、60年代と10年ごとに飛躍の歴史が積み重ねられ、90年代の現在は「21世紀を展望した生協づくり時代」へと移行している。組合員も増えて売り上げ実績も全国上位」にランクされるようになってきたことは、経営組織が十分に機能している証しであることが感じとられた。
この後、バスで移動して「コープしずおか」の大規模店である「ハーモス浜北」店の見学を行った。広い店内には生鮮食料品コーナーと衣料品コーナーに分かれていた。時間的に午前11時を過ぎていたから、生鮮食料品コーナーには多くの利用者が店内にいた。店内の陳列棚を見ると、どの商品も産地名が表示されており、安心・安全・環境にやさしい商品づくりのイメージが定着していることを見ることができた。
この後、バスで移動して観光客で賑あう奥山の山頂に着いたのは午後1時。秋晴れの山頂の「山の家」での昼食(山菜料理)はまた格別であった。
午後2時、晩秋の山の紅葉を満喫しつつ岐路のバスの人となった。
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教職員委員会 東海地連教職員院生交流セミナー報告
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