大学生協「環境活動交流会」

環境を守るための新しい仕組み
          
       (デザイナー)が重要!!

教職員委員会 皆川 清

日 時:1998年10月31日(土)13:00〜11月1日(日)13:00
会 場:大学生協会館 ヴァーシティホール,ロビーおよび会議室
参加者:約20の大学生協、9の地連・事業連合、他連合会事務局・実行委員を含め約80名、名大生協からは後藤(職員)、皆川(教職委員)、石井(院生委員)、村田(生協委員)4名+中條(全国委員)、富田(東海地連事務局)2名の併せて6名の参加
日 程:
1日目 全体会 13:00〜17:00 開会挨拶
学習講演会
 (1)大学生協がEMSを構築する意義 立命館大学経営学部 平井 孝治 先生
 (2)「環境ホルモン」−何が問題なのか 環境新聞社 編集部記者 戸高 恵美子さん
 (3)みやぎ生協における ISO14001認証取得の取り組み みやぎ生協専務理事   芳賀 唯史 さん
 発言 「たかが箸、されど割り箸 −割り箸再考−」 愛媛大学 向井 康雄 先生
 平井先生のお話はとても感銘を受けた。先生は小学生の頃「1人は万人のために、万人は1人のために」という生協のスローガンに痛く感銘を受けたという。今の生協は、経済性、品質、環境保全の相対する要求の上でジレンマではなくトリレンマになっているという。農協が地域政策に力を入れず、住専に走ったことや金融機関が投機を目的に土地に異常な投資をした結果、破綻状況になっている状況を話されました。
 環境を観る視点として、一昔前問題になったある地方におこった公害顕在期、数年前から言われている環境破壊期を過ぎて、今は地球環境期になっていること。科学技術の高度化と有害化物質(石油製品)の増加により、以前は便益の享受者とリスクの負担が同一だったのに対し、今は一部の享受者に比べて負担者の増大が著しいことが話されました。今日この頃の報道を聴いてみると先生の言っていることがよくわかります。
 これを変えていくシステムとして、仕組みのデザイナーが必要で、例として武蔵野工大付属高校のキャンパスデポジット制度や補助金と課徴金を上げられました。前記はご存じの通り、いくらかのお金を返すことにより飲み食いした容器を回収するシステムのことです。後記は最初は補助金を出して周知徹底するのもいいが、ある時点で課徴金に変えるようにしていくことです。欲望を制御し、善意を引き出すような仕組みを考えていく(デザイン)していくことの重要性を説かれました。
 その一つとしてEMS(環境マネジメントシステム)の導入がありますが、細かいことにこだわっていると遅々として進まない、先生が考えられた5段階による感性評価による環境の洗い出しによって結構旨く実施・運用が計られることが説明されました。ただ、大学生協の場合、学生・院生は顧客(お客)か構成員(教育が必要)か、トップダウンが効かない組織、特に国立大学は予算の関係で難しいが、例としてやりようによっては年間1000万円の費用で2億円を超える剰余がでるということです。大学生協では武蔵野工大が初めてISO14001を取得したそうです。最後にヨーロッパと日本の童話について話され、ヨーロッパの童話は必ず背景に自然(森)があり、人間は自然の恵みによって生きているのだと小さい頃から教育されている。
 環境便益の享受権、環境リスクの回避権、子孫への継承義務を怠ることなく大学生協として、志の高い教育・研究の提案と支援。環境問題には大学にて率先して垂範する。そして、組織をあげて行動することを要望されました。
 次の環境ホルモンの戸高さんのお話では環境ホルモンの名称について話されました。少し前までは、「ホルモン様化学物質」「エンドクリン」、英語でも様々な言葉で呼ばれている。要するに人工の化学物質が生物の体内に入り、正常な内分泌作用を乱し、さまざまな健康上の異常を引き起こすということである。それらを一括して「外因性内分泌撹乱化学物質」とか「環境ホルモン」と呼んでいる。一番身近なものとしてプラスチックに含まれる可塑剤のノニルフェノール、ビスフェノールA、フタル酸エステル、また、除草剤、殺ダニ剤、殺虫剤などの農薬も多く指摘されている。日本で使われなくても、アジアなどの発展途上国では未だに DDTやBHCが使われ、それらが日本に移動してくる。その他、今話題のダイオキシン、洗剤などに多量に入っている界面活性剤など化学製品で作られたものが多数生活の中で使われている。
 因果関係がそう簡単には見つからず、よくわからないというのが本音でブームは去ったかにみえるが、不断に関心を持ち続けてほしいことが話されました。
 3番目についてはロビーで生ゴミの堆肥化についての話に捕まってしまって、詳しく聞くことができませんでした。
 最後の割り箸については、1990年11月に行われた教職員委員会の企画報告にもあったが、材木の端材や間伐材を使用した割り箸を使うことによって林産業の手助けの一つになればということであった。連合会が阪神大震災の仮説学生寮に使った徳島県三好郡山城町の間伐材を割り箸を生産し、大学生協などで使うことで、今までは森の中で、使われずに放置されていた間伐材を利用するというこである。今後も大学生協や地域生協、地方自治体の食堂などで使われることによって間伐材の需要が増えれば、森林が守れ、災害を防止し、ひいては水資源の確保に繋がると思う。

2日目 分科会 10:00〜13:00
 ポスターセッション 10:00〜11:00
 分科会 11:00〜13:00
第1分科会 生協事業から見た環境問題へのアプローチ(参加者:後藤)
第2分科会 大学や地域と共同した環境問題への取り組み(参加者:皆川、村田)
第3分科会 1人でできる、みんなで取り組む環境活動(参加者:石井、富田)
第4分科会 生協職員のためのISO14001取得講座(参加者:中條)
 2日目の朝はポスターセッションがあり、名大生協からはペットボトル回収のポスターと実際回収したペットから作られたペレット(ペットを細長く延ばして細かく切ったもの)を展示しました。 他の大学生協などからも生ゴミの堆肥化、缶、ペットの回収、間伐材使用の割り箸などが展示され、見たり、説明に聞き入っていました。NHKの取材も来ていたようです。
 次に、分科会が昼休みを通して2階の会議室で始まりました。私は第2分科会に参加しました。
 始めに、問題提起として大阪大学における環境活動が院生の増原君によって報告されました。工学部福利棟のゴミ箱の中味を調べ、缶専用と書いてあるにもかかわらずいろいろなゴミが混ざって捨てられている状況から、ゴミ箱の設置を簡略化し、目立つ色(黄色)に変えて置き、中味をすべて調べたところ、90%を越える回収ができるようになった、回収ルートを確保したことが報告された。質疑応答の後、2番目の報告として京都大学で12年前から行われているリサイクル市について実行委員長の南君より報告されました。大学を去る学生の下宿用品をゴミに出さないで新入生や在学生に使って貰おうというものです。その年の在校生による実行委員会を組織してやっているそうで、その苦労話、特に大型のベッド、机、冷蔵庫、洗濯機、棚類など保管場所の確保にはいつも頭を悩ませているそうです。借りられるところはすべて借りて保管したことが話されました。電化製品231点、机・椅子・ベッド183点、収納家具類237点、その他71点の700点も超えるものが集められ、今年は4月4日に中央キャンパス時計台前で行われました。9割方は引き取られるそうで、残ったものは再度引き取り手をさがし、リサイクルショップに売り、それでも残ったものはゴミの処分に出すしかないそうで、あれだけのものをゴミに出さずに済んだという実感が湧いてくるそうです。質疑応答に入りましたが、感想として、報告がとても長く、議論の時間が殆ど無くなってしまったようです。
 名大生協からはこの間やってきた環境問題についての企画を話し、セールや機関誌等を利用し組合員に呼びかけていく。今後は生ゴミの堆肥化および組合員や農学部などで使用する、ペットボトルの徹底した回収・リサイクル、大学と協力して紙ゴミを回収してトイレットペーパーにして学内で使用するなどの運動を少しずつ積み上げていければいいのではないかと話しました。
 分科会には少し不満が残りましたが、80名の参加者の大半が若い学生さんであったことに将来に期待できそうな気がしました。
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