ニュースに一喝
−その8−


福祉はおいしい


 社会福祉法人岐阜龍谷会が特別養護老人ホーム建設に絡んで、補助金を四億円も不正受給していた事件が報じられている。
実際には九億二千万円の建設費ですむところ、十三億六千万円で請け負うことにし、国から六億九千万円、岐阜県から二億八千万円、岐阜市から約四億円の交付を受けていたという。差し引き、四億五千万円も余分である。誠にけしからん話であるが、そもそも一体どうしてこんな事が起こるのか。
 最初の見積もりがとにかく九億二千万円だったのに、ほぼ一.五倍に水増ししていたのだ。落札しなかった入札業者も関、福祉を食い物にしてはいけない。金の亡者は金によって弁済させるしかない。
 法人側の処分は是非そうして欲しいが、行政側の責任はどうする。一体、どういう審査をしていたのか。目は全くの節穴か。こういう内情に通じているという人からの又聞きであるが、役人の中に、専門的なことのわかるのが非常に少ない。それで、行政はどうしても業者任せになり、業者のいいなりになるのだと。仕事の内容がよくわからなくては文句のいいようも、注文の付けようもないのだ。日本全体でみても、発注した仕事に通じた人が少なくて、業者を指導するどころか、かえって業者にいろいろ指摘を受けなければならないというのだ。
 今、世上かまびすしい行政改革も定員削減ということばかりに血道を上げていると、公務員の志気は衰え、力のある役人は辞めてしまい、ますます困った状態になりはしまいか。ただ、こういった審査業務自体を民間に委託することも出来なくはないだろうが、最後にチェックする能力はどうしても必要だ。目の利く役人がどうしてもいる。とにかく、財源は税金なのだ。税金の使い道は丸見えで、公明正大でなければならない。
 それはそれとして、福祉ということと金儲けという事は、徹底的に切り離して欲しいものだ。金の亡者に弱者を任せたくない。そういう連中は自分の目的を達するためには何でもやるだろう。福祉にお金をかけるのは、その恩恵を直接蒙る人たちの為だけにしたい。前の厚生事務次官の汚職以来、こういう事件がいくつもあるが、甘い物にたかるアリや死体にたかるハイエナのイメージだ。
 こういえば、きれい事は言っておれんという声が聞こえてくるようだ。しかし、それは最低だと言い返してやりたい。日本国民はまだ道徳的にその高みに到達し得ていないのであろうか。 (T)
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教職員委員会 ニュースに一喝
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