かけはし9月号の主張
文化の秋に高晨陽画伯を歓迎する
以前にもこの欄で紹介したことがあるが、本学と交流協定を締結している北京第二外国語学院と南京大学及び復旦大学の学生一部教職員との間に名大生協独自の短期交流を行ってきた。
ささやかな民間外交として学生達から歓迎され、期待されてきた。この7月にも北京第二外国語学院の学生3名、教職員5名と中国北京画院の高晨陽画伯の9名、さらに南京大学の2名と復旦大学の1名の学生あわせて12名が来日する予定で私たちは歓迎準備をしてきた。ところが、直前になって北京の9名のビザが下りないという。念のため空港には担当職員が出かけていたが、南京大学と復旦大学の3名の学生のみの来日となった。豊田講堂での水墨画教室や出展作品の鑑賞も半減してしまった。その夜の理事会と教職員、学生委員会、生協職員、取引業者を交えての歓迎会もいまいち盛り上がりに欠けてしまった。
3年目にして初めて味わう残念な結果になってしまった。とはいえ、南京大学と復旦大学の学生3名は初期の予定通り学生と交流し、京都の旅を楽しみ、日本での生きた言葉や文化、経済や風景、同世代の学生との交流など充実した2週間を過ごして帰国した。私たちはビザが下りるのがかくも困難で有ると言うことを思い知らされた。隣国であり学生を中心とする学術、文化の交流についてこのような困難は早急に除去願いたいものである。
さて、高晨陽画伯のことであるが、氏は現代中国を代表する山水画の作家の一人です。中国北京画院に所属し、国内外での高い評価を得、東京での「北京山水画展覧会」には作品が出展され、百貨店でも即売されたようだ。氏との出会いは、北京第二外国語学院の日本語学部の学部長で北京での大学入試関係の日本語科目の出題責任者もしている「秦教授」の親しい友人として同氏から紹介され、今年のはじめに北京でお会いした。氏はまた、昨年夏名大生協が招待した北京第二外国語学院からの学生の父親でもあります。氏はまだ日本に来たことはありませんが、氏の日本に対する関心は高く、日本の山岳、富士山等の風景、京都・奈良の寺院など中国との関係で日本の屏風や掛け軸、襖絵など山水に係わる題材に興味を深く抱いていて、山岳写真家の白籏史郎や画家の東山魁夷に対して深い関心を持っている。
かって、遣隋使、遣唐使などが苦難の中を交流し、日本文化の進取に大いに貢献し、その後の日本人の生活文化の基礎を築いたと言っても過言ではない隣国中国の友人である。交通も通信も格段の進展を遂げた今日であるがなお、困難もある。ささやかな民間外交が果たす役割も重要である。幸いにして、8月の夏休み中にビザが下りたという。歓迎するにも時間的な準備が十分ではないが作品の鑑賞会や講演会、水墨画教室などを企画してみたい。組合員といわず大学人挙げて氏の来校を歓迎したい。
住まいの洋風化、マンション化が進むという否定的な要素が強い中で、あえて日本人の心に生きる「ワビ、サビ」の代表格である屏風や掛け軸、襖絵など山水画に接するのも意味のあることではないでしょうか。日本文化に影響を与えたお隣の文化を肌で感じてみませんか。是非ご家族で揃ってお出かけください。
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教職員委員会 かけはし9月号の主張
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