ひとやすみ
サラの育児日記
『一昨年の春、サクラの咲く頃に生まれた私は、生後、すぐにこの家のお嬢さんに拾われてきてご主人に「サラ」と名付けられ、この家のアイドルにまでなった』。ここまでは昨春の本誌で紹介していただいたのね。とにかく私の姉妹はヘソの緒を付けたまま息絶え、段ボール箱の中で虫の息だった私もすんでのところで同じ運命をたどるところだったのよ。手の平に乗るほどの赤子の私を5人家族の6人目として大切に育ててくれたのよ。目の見えない私にファンシーショップで買ってきたお人形さんの「ほ乳瓶」で口を開けてミルクを飲ませてくれたのよ。もちろんミルクは少し暖め、薄めてくれる優しさもあったわよ。拾い主のお嬢さんは、昼休みに家に帰ってきて私にミルクをくれたりもしたわよ。夜は、段ボール箱のベットに毛布を敷いて暖めてくれたり・・・。それはもう人間の赤ちゃんのように至れり尽くせりで面倒を見てくれたおかげで元気に成人することができたの。でもね人間に育てられたので「ほえる」ことができないで来客の誰にでも愛嬌を振りまくので「もう一匹雄を飼おうよ」と深刻な話題を提供してしまったの。どうなるのかね、私の運命って。
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教職員委員会 ひとやすみ
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