ニュースに一喝
−その13−


銭銭蝉と金金蝉


 ゼニゼニゼニゼニ、カネカネカネカネ、世の中、ぜにぜに蝉とかねか蝉の大合唱。世界中、どこを見回してもぜにぜに、かねかね。オリンピックも金まみれ。スポーツも金まみれ。相撲などひどいもの。なんでこんな風になってしまったのだろう。人間のやっていることだが、もう人間の制御が利かなくなってしまった。投機マネー。これは一体何者、何が目的? 世界の経済を混乱させて、何の得るところがあるのか。マレーシアの首相が怒るのももっともだ。ロシアの大統領も銭に負けそう。クリントンには銭が味方に付いた。  日本はどうか。株が安いの円が安いのといっているうちに円はじり高。すると輸出産業がもたんといってまた株安。この為替レートがくせ者だ。後戻りは出来まいが、固定相場の時にはあまり騒ぎはなかった。変動相場になってからは、このレートに世界中が振り回されている。
 それはそうと、長銀が破綻した。巨額の税金をつぎ込んだのはどういうことか。わかるように説明してほしい。中部国際空港を海の中に作るのに八千億円弱という。銀行につぎ込むのは何兆という額。住専処理の時の税金や銀行救済の金は一体何を生むのかよくわからない。どこにどう消えるのか。それでいて、銀行員のボーナスは公表しないという。金融システムの信用が大切だというなら、全部一旦国有化したらどうだろう。何にしても隠し事があってはいけない。続いて、日債銀が破綻した。
 もともと銀行が作り出したバブルだ。担保もないのにどんどん金を貸しそれで土地を買わせ、土地を値上がりさせ、それを担保にまた金を貸し、とやった挙げ句、膨れ上がった泡がはじけた。土地神話がそれを支え、多くの人が踊らされ、大げさにいえば、国中が浮きに浮いた。日本の土地の値段が、アメリカの全部の土地の値段より高いと聞いて呆れたことがある。
 アブクは消えた。得した人もいようが多くはバカを見た。アメリカは一喜一憂で、本当のところはどうなんだろう。内需拡大内需拡大で予算は大赤字予算。赤字国債が予算の三割近く、国債全体では、四割に近い。ほとんどめちゃくちゃ、やけくそ予算だ。そんなに無駄に消費をして一体それで何がどうなるのだろう。決して正しいあり方ではなかろう。
 国債を消化するのが難しいだろうというので、長期プライムレートが上がり始め、また、株安に傾いているという。やることなすこと裏目裏目。
 大盤振る舞いの予算に対しても効果を疑問視する声が多い。このときに当たり、経済専門家の献策がない。もっとも、経済の専門家という人の意見もあまり当てにはならぬが。特に意見を聞かなくても、こんなのがいいとは素人目にも思えない。消費に消費を重ねれば、一時的にカンフル効果は有ろうが、ゴミを増やし、資源を消費するだけだろう。正気の沙汰とは思えない。アメリカにやかましく言われて政府がその尻馬に乗って、消費をあおっても日本人はもう大概はさめている。当たり前だ。一旦落ちるところまで落ちるがよかろう。対症療法、一時しのぎはもっと悪くする。もう相当危険なところまで来ているように思う。覚悟を決めて谷底に飛び込もうではないか。
 この時に当たっても、まだ、専門家の決め手になる意見は出てこない。これでいいのか。所詮は机上の空論か、そうでなければ、まともな処方箋を書け。書かなければ私が教えよう。
(T)  

  前頁                次頁  
教職員委員会 ニュースに一喝
kyosyokuin@coop.nagoya-u.ac.jp