ニュースに一喝
−その11−
分かればいいというもんでは
1999年1月1日の中日春秋の最後のセンテンス。「この世は、すべからく多面体なのでだから。」この「すべからく」は文意からは恐らく「すべて」の意味だと思う。「すべからく」とは本来、「すべきこと」の意味だが、「すべて」と似たようなフィーリングで別の意味を生じているようだ。これについて、忙しい中わざわざ尋ねたが、新聞社から返事はない。言葉を大切にしていると思うのだが、残念なことである。
パチンコ屋の駐車場に「本日公休日」とあった。これで意味は十分わかる。でも、「公休日」とは。「定休日」ならともかく。同じようなこと、スーパーの駐車場で。「不法駐車は○○円頂きます」と。道路の不法駐車は困る。それと同じにはなるまい。まさか、法律までスーパーで売っているわけでもあるまい。「無断駐車」という言い方があるのだから、此の言い方は少しえらすぎるのではないか。
ついでに、近所の駐車場に「近日空車予定有ります」と。言おうとすることは分る。それでも、「空車」はタクシーに限っていただきたい、と思う。
ちょっと言い間違いか?
スコヤカな秋晴れ、11月15日、七五三の日のこと。「スコヤカな秋晴れで…」と、また言うので言い間違いを直すかと思ったら同じ事を繰り返す。「さわやかな秋晴れ」のつもりらしいが、こんな語感もこのニュースを読むアナウンサーにはなくなったのだろうか。変とは思わないのだろうか。同日12時のニュースで。
サイケツ
JAFの追徴課税について、国税不服審判所が取り消しの決定をしたというNHKニュースで、取り消しの「採決」と字幕。これは目立つ。その訂正も出なかった、ように思う。12月3日朝8時30分のニュース。
耳を背けたくなるような
クリントンのセクハラ疑惑に関して。新聞記事である。ラジオニュースならたしかに「耳を背けたくなるような」ことだろう。
微にいり細に入り
同じ記事で、「微にいり」といえば「細に入り」と言いたくなるのはわからないでもないが、一流のジャーナリストともなれば、もうちょっと言葉に気をつけてもらいたいと思う。98年9月21日の中日新聞のコラム。「微に入り細を穿って」というのが慣用表現。
9月22日の台風の一時のNHKニュースの中で、「大粒の雨が海をたたきつけています」と。何でもないようで、ちょっと考えれば面白くもあり、変でもある。それゆえの効果を考えての上だろうか。 (T)
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